うっかりでは済まされない?動物取扱業の登録忘れにご注意を

動物に関わるお仕事をされている方の多くが、「動物取扱業」という言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。動物取扱業とは、ペットショップやペットホテル、ブリーダー、動物のしつけ教室、動物ふれあい施設などの業態を対象に、法律上の登録が義務づけられている業種です。
しかし、トリミングサロンやペットシッターなどの中には「うちは対象外だと思っていた」と、ついうっかり登録を怠ってしまうケースが見受けられます。

今回は、そんな“うっかり登録忘れ”が起きやすい業態と、そのリスクについて解説いたします。

■「一時的に預かってるだけ」でも“保管業”に該当

たとえば、トリミングサロンを例に考えてみましょう。

「うちはあくまで美容サービスの提供。ペットホテルはしていない」と考える方も多いかもしれません。
しかし、実際にはトリミングの前後で飼い主の送迎までの時間を店内で待機させる、あるいは夕方まで預かってほしいという依頼に応じるなど、“一時的に動物を店舗で保管する”場面が生じることがあります。

このような場合、たとえペットホテルの看板を掲げていなくても、「保管業」に該当し、動物取扱業の登録が必要になります。
ここがまさに“うっかり見落とし”が起きやすい代表的なポイントです。

■登録を怠るとどうなる?

動物取扱業の登録を受けずに対象業務を行った場合、法律違反となり、罰則の対象になります。
動物愛護管理法により、無登録営業は罰金に処される可能性があります。
さらに、登録せずに営業していた事実が発覚した場合、信用問題にも発展しかねません。

また、動物を預かっている間に事故が起きた際、法的責任が問われる場面においても、登録を怠っていたことが不利に働く可能性があります。

■よくある誤解・見落としパターン

  • 「ペットホテル」ではないから関係ないと思っていた
  • 一時的な預かりなら問題ないと思っていた
  • 知人のペットをたまに預かっているだけ
  • 副業・自宅での小規模営業でバレないと思っていた

これらがよくあるケースなのかなと思われます。
「預かる」行為が保管となり、「業として」行う場合は登録が必要になります。
預かる時間や宿泊の有無は問題ではないことに注意が必要です。
この「業として」というのはわかりにくいかと思いますが、お商売として、と思ってもらえればよいかと思います。
法律によって若干取扱に差異があるものの、対価を得ているか、不特定多数を相手にしているか、反復継続しているか、などで判断されます。

また、「バレない」は「今はまだバレてないだけ」です。
※わかりやすいので「保管」を例にしていますが、その他の種別でもうっかり無登録はあり得ます。

■「登録が必要か分からない」場合

動物取扱業の該当判断は、業態や業務内容によって分かりづらい部分もあります。

そのため、「これは登録が必要なのか?」と少しでも疑問に思ったら、自治体や専門家に相談するのが得策です。

基本的に自治体であれば無料で個別のケースまで親切に対応してくれることが多いです。

ちなみに私が最近電話した大阪市の担当者は超絶親切でした。

■登録してないんだけど…

大きな声ではいえないけれども、自覚がある方ももちろんいらっしゃいますよね。
その場合は早急に対応することをお勧めします。
専門家または自治体に相談すべきですが、とりあえず自治体に相談してごめんなさいしておく方がよいかもしれません。

■まとめ:事前の確認でリスクを未然に防ごう

動物を扱う事業者にとって、「動物取扱業の登録」は避けては通れないものです。
「一時的な預かりだから」「うちは美容サービスだから」などの思い込みで登録を怠ってしまうと、後々大きなトラブルになりかねません。

今回は代表例としてトリミングサロンを上げましたが、その他にもペットシッターなども保管に該当する場合があるでしょうし、看板犬や看板猫との触れ合いをサービスとして提供していれば「展示」に該当する場合もあるでしょう。

まずは自身の業務内容を客観的に見直し、必要であれば速やかに登録を検討しましょう。
また、迷った場合は行政や行政書士などの専門家に相談することで、安心して事業を運営することができます。

当事務所ではLINEでのご相談も受け付けておりますので、どうぞ気軽にご相談いただればと思います。