動物取扱業ができない場所

ペットブームの定着により、トリミングサロンやペットホテル、ブリーダー業などの「動物取扱業」を新たに始めたいという方は年々増えています。

しかし、開業の計画段階で意外な落とし穴になるのが、「都市計画法」という法律の制限です。

この法律は都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため、土地の利用方法などに様々なルールを設けています。

本稿では、行政書士の立場から「動物取扱業と都市計画法の関係」について、実務的な視点で解説します。

1. まず「動物取扱業」のルール

動物取扱業とは、犬猫などの哺乳類や鳥類、爬虫類を取り扱う一定の事業を指し、動物愛護管理法に基づいて都道府県等への登録が義務付けられています。
具体的には、次のような業種が対象となります。

  • 販売業(ペットショップ、ブリーダー等)
  • 保管業(ペットホテル、トリミングサロン等)
  • 貸出業(動物レンタル等)
  • 訓練業(しつけ教室、警察犬訓練等)
  • 展示業(動物園、ふれあい施設等)
  • 譲受飼養(老犬・老猫ホーム等)
  • 競りあっせん(動物オークション等)

登録には種別により様々な要件を満たす必要がありますが、それ以前の問題として確認しておくべきものが、「都市計画法の制限」です。
この制限にひっかかってしまうと、そもそも登録できません。

2.市街化調整区域について

都市計画法上、日本は3つの区域にわけられることになります。

  1. 都市計画区域
  2. 準都市計画区域
  3. それ以外の区域

それぞれの細かい話はおいといて、大阪や兵庫の都心部で開業しようと思うと、だいたい都市計画区域内になります。
そして、都市計画区域もさらに三つの区域にわかれます。

  1. 市街化区域
  2. 市街化調整区域
  3. 非線引き区域

まずはこの中の「市街化調整区域」についてお話をします。
市街化調整区域とは、ひとことでいうと「市街化を抑制する地域」です。

その為、原則として新しい建物を建てたり、建物の用途を変更したりということに許可が必要です。(例外あり、都市計画法第二十九条)

そして、市街化調整区域においては特定のもの以外許可できないと定められています。(都市計画法第三十四条)
この「特定のもの」も微妙に自治体によって異なるものではあるのですが、動物取扱業が認められるケースは個人的には聞いたことがありません。

絶対無理!とは言いきれませんが、可能性とかかる労力や時間を考えたら素直におとなしく別の場所を探す方が無難です。

3. 用途地域とは?

市街化区域の内部は、さらに用途地域という制度で細分化されます。
これは、住宅地・商業地・工業地など、土地の利用目的に応じて建てられる建物の種類や規模を制限する仕組みです。
代表的な用途地域は以下の通りです。

  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
  • 第一種住居地域
  • 近隣商業地域商業地域
  • 準工業地域工業地域

何となく字面からイメージできるとは思います。
細かい話は自治体によるのですが、住居系地域については飼養施設を設置する場合の面積が制限されたり、そもそも設置できないという可能性があります。

4. 市街化調整区域と用途地域の違い

  • 市街化調整区域:都市計画法上、原則建物が建てられない「開発抑制区域」。
  • 用途地域:建築可能な市街化区域内で、建物の種類や規模を制限する制度。

つまり、まず市街化調整区域かどうかを確認し、次に市街化区域であれば用途地域の制限を確認する、という二段階のチェックが必要です。

5. ルールを無視すると?

動物取扱業は比較的近隣トラブルになりやすい傾向があります。
(わんちゃんの吠え声や臭いなどで)
その際、通報されて営業停止、移転を余儀なくされるケースは容易に想定されます。
ので、やめておいたほうが良いです。

余談ですが、以前大阪府に聞いた時、「登録時に用途地域まで調べない」って仰ってたので、そりゃそうだよなぁと思いつつ、ダメな場所で登録がぬるっと通ってしまうこともあり得るよな。と思ってる次第です。

6. 事前チェックポイント

動物取扱業の登録可否を判断するには、次の流れが有効です。

  • 場所を特定(どこで動物取扱業をするのか候補をある程度確定)
  • 都市計画図で区域を確認(市街化調整区域か、市街化区域か)
  • 市街化区域であれば用途地域を確認(建築・用途制限の可否)
  • 事前に動物取扱業担当部署と協議(登録見込みの有無)

動物取扱業の登録自体は都道府県に対してするものですから、登録前の調査事項ということになります。

各市役所に行って、「都市計画担当課」と聞けば場所を教えてくれますので、直接聞いてみましょう。
アポなしでもいけることが多いですが、先に電話しておく方がスムーズです。

尚、インターネット検索である程度調べることも可能ですが、情報は基本的に古いですし、用途地域が二か所にまたがっている土地もありますので、自分だけで判断するのはちょっと危険です。

7. まとめ

動物取扱業は動物愛護管理法の基準だけではなく、都市計画法による土地利用制限の影響を強く受けます。

市街化調整区域ではそもそも建築や用途変更ができないことが多く、市街化区域内でも自治体や用途地域によっては望むような営業ができなかったりするケースもあります。
開業を計画する際は、場所を買ったり借りたりする前にしっかり確認をしておくことが重要です。

くろねこ行政書士事務所では、動物取扱業の登録申請だけでなく、都市計画法を踏まえた事前調査も行っています。
「この場所でペット事業はできるのか?」という段階から、ぜひご相談ください。