薬の扱いは慎重に~動物用医薬品店舗販売業~

ペットを家族の一員として迎える世帯が増える中、動物の健康管理に対する意識も高まり、動物用医薬品を取り扱う事業者は年々増加しています。

しかし、動物用医薬品の販売は自由ではなく、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、薬機法)に基づく許可制度のもとで厳格に管理されています。

そもそも動物用医薬品とは~定義~

動物用医薬品とは、諸々おいといてざっくり言えば動物の疾病の診断、治療、予防、または身体の構造・機能に影響を及ぼすことを目的とする物で、機械器具等ではないものをいいます。(薬機法第2条)

犬や猫などの伴侶動物に使用されるものだけでなく、豚さんとか牛さんの医薬品も含まれます。
人用医薬品と同様に、有効性と同時にリスクも伴うため、製造・販売・管理の各段階で法的規制が設けられています。

販売するための許可~動物用医薬品店舗販売業~

動物用医薬品店舗販売業とは、店舗を設けて動物用医薬品を販売する業態をいい、あらかじめ都道府県知事の許可を受けなければなりません。(薬機法第24条~第26条)

この許可は「事業所単位」で必要となり、複数店舗を運営する場合は、それぞれの店舗ごとに許可を取得する必要があります。

インターネットで販売する場合も店舗販売業の許可が必要です。

尚、少し要件の緩い「特例店舗販売業」というのもあります。
(薬機法第83条の2の3)
通常店舗販売業に限らず医薬品の販売業には管理者として薬剤師又は登録販売者の設置義務がありますが、特例店舗販売業では不要です。
ただし、販売品目には制限があります。

(ホームセンターなどはだいたい特例販売かなと思います。販売品目的に。)

販売できる医薬品の範囲

動物用医薬品店舗販売業で販売できるのは、原則として要指示医薬品、指定医薬品以外の動物用医薬品です(薬機法第49条)。

要指示医薬品とは、獣医師の指示書(処方箋)がなければ販売できない医薬品であり、一般のペットショップ等で自由に販売することはできません。
要するに人間でいう処方箋医薬品です。
昨今では動物病院から指示書を受け付ける薬局もあるようですが、未だ院内処方が主流で獣医師が指示書を書くことは一般的でないですからそこに算入していくのは結構チャレンジャーかなと思います。
また、指定医薬品は厳密にいえば薬剤師であれば扱えるのですが、通常ペットショップなどで販売されているものに指定医薬品は稀と思いますので気にしなくていいと思います。
これにより、動物の生命・健康への影響が大きい医薬品は、専門家の管理下に置かれています。

構造設備と管理者の設置義務

店舗販売業では、医薬品を適切に販売・保管・陳列するための構造設備基準を満たす必要があります。(薬局等構造設備規則第2条)

また、店舗には動物用医薬品販売管理者を設置しなければなりません。(薬機法第28条)
管理者は薬剤師または登録販売者でなければならず、医薬品の品質管理、販売の適正確保、従業員への監督指導などを担います。(薬機法第29条)

尚、登録販売者が管理者になるにあたっては実務又は業務従事経験の要件があります。

他の動物用医薬品販売業との違い

あまり取得しようという方は多くないと思うのですが、他の販売業についても触れておきます。

動物用医薬品卸売販売業

卸売販売業は、薬局、動物病院や販売業者に対して医薬品を供給する業態で、一般消費者への直接販売は行いません。(薬機法第25条)

動物用医薬品配置販売業

事前に医薬品を配置し、使用後に代金を回収する業態です。(薬機法第25条)
いわゆる置き薬ですが、果たして動物業界に存在しているのか…?
余談ですが、牧場などでは近い形態で治療する場合もあるとかないとか。
法的是非はさておき、飼い主が専門家ですから成り立つのかもしれませんね。

動物用医薬品製造販売業

製造および製造販売を行う業態で、高度な品質管理・安全管理体制が義務付けられています。(薬機法第12条)
大きな工場みたいなものをイメージされるかもしれませんが、海外からの輸入なども含まれますし、包装や保管のみを行う場合も含まれます。

物流倉庫も必要になるケースがあったりします。

行政書士による実務支援の重要性

動物用医薬品店舗販売業の許可申請では、

  • どの販売業に該当するのか(何をしたいのか)
  • 販売できる医薬品の範囲
  • 管理者要件や人員配置
  • 店舗構造が基準を満たしているか

といった点を総合的に判断する必要があります。
行政書士は、これらを法令に基づいて整理し、事業計画段階から助言を行うことが可能です。

動物行政はあまりなじみがない方も多いと思いますが、動物薬事はその他の動物行政と比べてけっこう厳しい印象です。

きちんと要件を満たし、守るべきルールを遵守していれば決して難しい手続きではありませんが、油断は禁物です。

まとめ

動物用医薬品店舗販売業は、ペットと人の安全を守るため、薬機法により厳格に規制されています。
特に、根拠条文の理解、人員要件、薬剤師と登録販売者の役割の違いは、事業を適法に継続するうえで欠かせません。

例えば、管理者要件を満たす人が退職することもあるでしょうし、管理者がいない時間帯はどうするかなども検討する必要があります。

ペット関連ビジネスを安心して展開するためにも、早い段階で制度を正しく理解し、必要に応じて専門家の支援を受けることが重要です。

当所では、ペットに携わる行政書士として動物用医薬品販売業のご相談もお受けしております。

相談はLINEにて随時無料で承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

超余談

個人輸入はどうなの?と思われる方もいるかもしれないので。

個人使用のために動物用医薬品を海外から輸入して使用するのは原則的に合法です。

ただし、それを人にたとえ無償でも渡せば違法です。(国内の医薬品でもそこは同様ですが。)

そして、海外薬の個人輸入代行については、結構グレーな存在が多いです。

農水省からの指導も無視している企業もある始末。

正直、お勧めはできないなぁというのが個人としての正直な感想です。

(きちんとやってらっしゃる業者の方ごめんなさい。)

獣医師に勧められた海外薬にとどめておく方がよいと思います。

健康の為に使用するもので健康を害するなんて仮に安くても本末転倒ですし。

ちなみに、海外薬を個人輸入してお商売として国内流通させるのは現実的に難しいのであえて触れません。