動物病院の開設届・変更手続き~実務上の注意点~
動物病院を新たに開設する際、あるいは運営を続けていく中で、必ず関係してくるのが各種「届出」や「変更手続き」です。
診療そのものに集中したい獣医師の先生にとって、行政手続きは後回しになりがちですが、届出漏れや遅延は、法令上罰則(20万円以下の罰金)もありますので注意が必要です。
本コラムでは、動物病院の開設届を中心に、その後に必要となる変更手続きについて、行政書士の立場から実務的な注意点を解説します。
動物病院を開設する際に必要な「開設届」とは
動物病院を開設した場合、獣医療法に基づき、開設後10日以内に「飼育動物診療施設開設届」を提出する必要があります(獣医療法第3条)。
この届出は、個人開業か法人かを問わず必要であり、提出先は原則として施設所在地を管轄する都道府県知事(実務上は家畜保健衛生所等)です。
ポイントは「開設後」なので開設前に先んじて出すことはできません。
また、許認可申請ではなくあくまで「届出」です。
拒否されたりする心配は基本しなくて良いです。
開設届では、主に以下のような事項を記載します。
(獣医療法施行規則第1条)
- 開設者の氏名または名称及び住所(第1項)
- 診療施設の名称(第2項)
- 診療施設の所在地(第3項)
- 開設年月日(第4項)
- 施設構造設備の概要(第5項)
- 管理獣医師の氏名(第12項)
1項から16項まで規定があります。
これらは一見すると単純な情報に思えますが書式等自治体ごとに細かな運用の違いがあります。
特に初めて開業される場合、何が求められているのかわかりにくいかもしれません。
また、上記の代表例には記載していませんが今やどこの病院にもあるレントゲン機器の設置をする場合放射線漏洩検査やさらに細かな資料が必要です。
その他にも、該当する場合だけ対応が必要なものがあります。
開設時に見落とされがちなポイント
飼育動物診療施設開設届を作ることは記載例もあるので正直そこまで難しくはありません。
ただし、担当者に突っ込まれやすいポイントもいくつかあります。
たとえば、法人で開設する場合には、法人の定款目的との整合性などの確認が必要です。
特に大阪府、大阪市は未だに対面で提出する必要があるため、出し直しとならないように確実に持っていきたいところです。
兵庫、京都は郵送でいけますが、いずれにせよ返ってくると面倒です。
これらを開設後にまとめて対応しようとすると、業務が多忙な時期と重なり、結果的に届出が遅れてしまうこともあります。
また、提出するときは必ずコピーも1部持っていってください。控えがもらえます。
(郵送提出の場合は、返信用封筒も忘れずに。)
開設届がないと基本的に医薬品を仕入れできませんから、開設段階から全体像を把握し、スケジュール管理を行うことが重要です。
また、開設届とは直接関係しませんが、動物用医薬品を処方だけではなく販売する場合には、別途、動物用医薬品販売業に関する手続きが必要となりますし、ペットホテルやトリミングサロンを併設する場合は動物取扱業の登録も必要です。
変更が生じた場合に必要となる各種届出
動物病院は、一度開設したら終わりではありません。
運営を続ける中で、さまざまな変更が生じ、その都度、届出が必要となります。
代表的な変更事項として、以下のようなものがあります。
- 病院の名称変更
- 所在地の変更(移転)
- 開設者の変更
- 管理獣医師の変更
- 診療獣医師の追加
- 施設の構造や設備の変更
これらの変更についても、原則として変更後10日以内に届出が必要とされています。
特に管理獣医師の変更、診療獣医師の追加、開設者の引っ越しは、届出漏れが起こりやすいです。
また、開設者の変更や移転は原則として変更ではなく廃止と再開設です。
移転・増改築時に注意すべきポイント
動物病院の移転や増改築は、単なる「変更届」では済まない場合があります。
全面改築や建て替えの場合は廃止と再開設が必要な場合もあります。
届出を怠った場合のリスク
「忙しくて後回しにしていた」「知らなかった」という理由で届出を行わなかった場合でも、責任が免除されるわけではありません。
届出義務違反は、罰則の対象となりますし、遅延理由書という書面を提出する必要も出てきます。
罰則を受けたという話は今のところ聞いたことはないですが、度々遅延理由書を提出しており行政から指導を受けた案件は聞いています。
さらに進むと何らかの処分を受ける可能性がないとは言えないでしょう。
日常業務とは直接関係しないからこそ、継続的な管理が重要です。
行政書士に依頼するメリット
動物病院の届出手続きは、単発で終わるものではなく、開設後も継続的に発生します。
行政書士に依頼することで、届出漏れの防止だけでなく、変更が生じた際に「これは届出が必要かどうか」をすぐに判断できる体制を整えることができます。
まぁ、全然自分でできる範囲なので自分でやるでも全然問題ないかと思いますが。
その他、顧問的な関係を築くことで、開設・変更だけでなく、法人化、事業承継、補助金活用など、将来的な経営面の相談も一括して行うことが可能になりますのでそれはメリットかも。
まとめ
動物病院の開設届や変更手続きは、法律上の義務であると同時に、病院運営の土台となる重要な手続きです。
忙しい診療業務の合間に対応するのは大きな負担となるため、専門家のサポートを活用することが、結果的にリスク回避と業務効率化につながります。
動物病院の開設や変更に関する手続きでお悩みの際は、行政書士にご相談ください。
当所にもお気軽にご相談くださいませ。
